政策レポート
  各地方政府が普通住宅の基準を公表、上海、広州は契約税の税率を変更  

                                                     2005年6月6日

1. はじめに

5月11日に中央政府7部門が共同発表した不動産新政策には住宅売却時にかかる営業税の課税方式の変更が含まれていた。この新税制(注1)の下では、売却する住宅が普通住宅か非普通住宅かで税負担が異なるが、5月11日の政策発表時点では普通住宅の明確な基準が公表されていなかった。各地方政府はこの基準公表の締め切り日の5月31日、普通住宅の基準をそれぞれ公表した。上海市および広州市政府は普通住宅の基準公表と同時に契約税の税率変更も発表した。今回のレポートでは、この契約税の税率変更とその市場への影響についても記述する。

2.上海・北京・広州における普通住宅の基準

(1)3都市の基準
下記の3つの条件を全て満たす住宅が普通住宅に分類される。基準は各都市によって少しずつ異なる。

(上海の場合)
@一戸の建築面積が140平米以下(140を含む)
A建築容積率(注2)が1.0以上(1.0を含む)
B実際の成約価格が同レベルの土地に建てられた住宅の平均成約価格の1.44倍以下(1.44を含む)
具体的には、
内環状線内の地域 17,500元/平米未満
内環状線と外環状線間の地域 10,000元/平米未満
外環状線外の地域 7,000元/平米未満
の物件が普通住宅に分類される。出所:上海不動産取引センター
*上海市は半年に一回普通住宅の基準を公布する。

(北京の場合)
@一戸の建築面積が140平米以下(140を含む)
A建築容積率が1.0以上(1.0を含む)
B実際の成約価格が同レベルの土地に建てられた住宅の平均成約価格(表1参照)の1.2倍以下
 (1.2を含む)

表1.北京における土地のレベル別・住宅平均取引価格
1級  崇文門内大街、宣武門内大街等 11,068元
2級  広渠門内大街、広安門内大街等 9,555元
3級  勁松、北三環等 8,040元
4級  望京、酒仙橋地区等 6,886元
5級  魯谷、北五環南路等 5,462元
6級  通州区政府所在地中心区等 4,526元
7級
8級
9級
10級
出所:北京市政府
*北京市は年一回普通住宅の基準を公布する。

(広州の場合)
@一戸の建築面積が144平米以下(144を含む)
A建築容積率が1.0以上(1.0を含む)
B実際の成約価格が同レベルの土地に建てられた住宅の平均成約価格の1.2倍以下(1.2を含む)
*広州市は、上海市や北京市が公表しているような地域ごとの平米単価の基準値や土地のレベル別・住宅平均取引価格を公表していない。また、普通住宅の基準の公布頻度も現時点では公表していない。

(2)普通住宅の基準のねらい
普通住宅と認められるためには、上記の3つの基準の全てを満たす必要があるため、上海、北京では140平米より大きい、広州では144平米より大きい住宅は全て非普通住宅に分類されることになる。そのため、建築面積の比較的大きい高額物件の多くが非普通住宅に分類され、営業税の新課税方式(注1参照)の下では購入後2年以上経過してから転売した場合にも売却益に対して5%の営業税がかかることになる。次のセクションで説明する上海および広州における契約税の税率変更も非普通住宅の購入の場合にのみ適用されることを考えると、今回の措置は特に高額物件の転売を繰り返す投機行為の抑制に焦点をあてているとみることができる。

3.上海市および広州市における契約税の税率変更及び市場への影響

(1)変更の内容(表2参照)
5月31日、上海市及び広州市政府は住宅の購入時に課税される契約税の税率変更(6月1日から実施)を発表した。両都市で以前はマンションであれば物件の建築面積の大きさにかかわらず税負担は購入額の1.5%だったが、今後はマンションでも非普通住宅に分類される物件であれば購入額の3%が税金として徴収される。

表2. 上海・広州・北京における契約税の税率表
変更前 変更後
マンション 一戸建て 普通住宅 非普通住宅
上海 購入額の1.5% 購入額の3% 購入額の1.5% 購入額の3%
広州 購入額の1.5% 購入額の3% 購入額の1.5% 購入額の3%
北京 平米単価9,432元以上
購入額の3%
平米単価9,432元未満
購入額の1.5%
購入額の3% 契約税に関する変更の通知は現時点(6月6日)でなし。
出所:上海市・広州市・北京市政府

(2)市場への影響
今回の税率変更措置のポイントとしては以下の3点が指摘できる。@購入時の税負担が購入額の1.5%から3%へと2倍に増えることになり、営業税の課税方式の変更とは異なり、物件の買い手サイドに影響を与えるものである。A税率変更は非普通住宅に分類される住宅にのみ適用されることから、比較的建築面積の広い高額物件の市場に焦点をあてている。B課税方式が変更された営業税とは異なり、中古市場だけでなく新築市場にも影響を与え得る。
上海市場ではかなり以前から契約税の税率変更はうわさされていたので、売り手・買い手双方の様子見の状況が続いている現在の市場動向に大きな影響を与えるとは思われない。広州については一部のエリアで取引量が減少しているが、全体的にみて市場は安定しており、今後も引き続き安定した状況が続いていくのかどうか注目される。

注1. 新税制:個人の住宅売却時における営業税課税方式の変更
2005年6月1日より、
(1)個人が住宅を購入後2年未満で転売した場合、売却価格に対して5%の営業税がかかる。
(2)個人が普通住宅を購入後2年以上経過してから転売した場合、営業税は免除される。
(3)個人が非普通住宅を購入後2年以上経過してから転売した場合、売却益に対して5%の営業税が
  かかる。
注2.建築容積率:建物の延べ床面積を敷地面積で割ったもの。

以上

上海:非普通住宅の売却時における土地増値税の支払い義務(2007/06/25)
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各地方政府が普通住宅の基準を公表、上海、広州は契約税の税率を変更(2005/06/06)
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