トピックレポート
  資産運用における投資資産の分散化と人民元投資  

前号の座談会でも触れましたが、日本人の運用資産といえば、円建ての預金、債権、投信、株式、不動産というのが一般的でしょう。外貨建てで投資するのは、為替リスクにさらされ、危険だということをいう方がけっこういらっしゃいます。しかし、それはグローバルな投資理論からみれば、投資資産の分散化がなされておらず、日本人の投資行動は世界の資産家からみると非常に不思議に写るでしょう。戦後世界の中でも最も高度な経済成長を果たした日本に、幸いにして生を与り、投資をしてきた日本人投資家にとっては、90年代初めまでは日本という国だけに投資しておけば非常に安定したパフォーマンスをあげてきましたが、バブル経済が崩壊した1992年以降はむしろ大幅な資産の目減りを経験したのです。このように、むしろ単一の国、単一の通貨に資産を集中させていること自体、ハイリスクハイリターンなのです。

日本の投資家とほぼ対極にあるといわれているのが、ヨーロッパの投資家です。彼らは、自分の国の経済だけに賭けるというリスクをとらず、実にうまく世界中の通貨、資産に分散投資をしています。株式、不動産に限らず、ヘッジファンド(国債、株式、商品などの先物、現物取引を組み合わせたもの)なども活用し、年10-15%の運用利回りを実現しているといわれます。どこかの国で、1億円を預けて1年間に数十万しか利息のない、しかも財務格付けの低い銀行に預金している投資家から見ると羨ましい限りです。

さて、私事なのですが、この年末年始にオーストラリアのシドニーに旅行に行きました。オリンピックイヤー以来3年ぶりのオーストラリアで、日本円から豪ドルに替えて"おやっ"と感じたのです。1豪ドルが約80円。確か2000年の時は約65円前後だったと記憶していますが、「その時に比べ円の価値が下がっている?!」どうもこの1年間の急激な円高が頭にあるので、一瞬意外な感覚でした。実は、豪ドルは日本円以上に米ドルに対して強くなっている。もっと言えば、実は今は円高なのではなくて、ドル安であり、ドルからみれば円は主要通貨の中で下落率がもっとも小さい部類に入っている通貨なのです。(下表『過去2年間の対円主要通貨レート推移』参照)どうも我々日本人は、外国為替といえば常に円ドルしか頭にないのでこの辺りの感覚がどうも鈍くなってしまいます。

日本が失われた10年といわれた90年代、オーストラリア経済は非常に堅調に成長してきました。オリンピックというイベントに向け経済が活性化し、宴が終わってからもその好調さは続いています。その証拠に1997年から2003年までの6年間にシドニーの住宅価格は2倍になっています。またこの2年間についても豪ドルの対米ドルレートも30-35%近く上昇しています。さあ、このように考えると、日本円資産の一部をどこかに移したくなりませんか? 

そうです。2008年にオリンピック、2010年に万博を控えた中国に一部の投資ポートフォリオを持とうという提案です。昨年以来、巷では人民元の切り上げ観測がなされていることは、読者の方はすでにご承知のとおりと思います。なぜ、今人民元の切り上げなのか、この点についても既にいろんなところで議論がされています。(『人民元で儲けよう』もご参照ください)時期は、ともかく近い将来必ず米ドルとのペッグ(固定相場制)が見直され、人民元が対米ドルに対して高くなる可能性が高いとしたら、資産の一部を切り上げが起こる前に人民元資産に移しておくのが賢明というわけです。つまり、切り上げ後人民元を米ドルに交換すれば、切り上げ分の為替差益を得られるからです。(勿論、あくまで人民元の切り上げは直接的には、米ドルに対してですから、円をベースに考える日本人の方には、ドルのポジションが発生しているため、最終的に円換算で儲かったかどうかは、人民元資産を購入した時と、売却したときの対円ドルレートにも注意する必要があります。)為替で儲かり、経済成長でさらに資産価値が上がる可能性があれば、ダブルでその恩恵を受ける資産投資、これが人民元資産投資なのです。

さて、次回は日本人が投資できる人民元資産にはどのようなものがあるかレポートしたいと思います。


                     過去2年間の対円主要通貨レート推移
          *2001年4月を100とした各通過の変化率
          *青:ユーロ 黄色:オーストラリアドル 緑:英ポンド 黒:US$と人民元

以上

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