前回は、人民元資産投資の中で中国不動産投資の魅力についてレポートしました。今回は、日中の不動産の違いについてレポートしたいと思います。
中国は土地使用権が売買される
中国の土地は、憲法で私的所有権が認められていないため、憲法に矛盾しないように、生まれた法的論理が土地使用権で、日本法の定期借地権や地上権に近い存在といえます。
定期借地権の場合、期間の満了により、借主は原則として土地上の建物等を取り壊して返還しなければなりませんが、中国の土地使用権の場合、期間満了の一年以上前に延長申請しておけば、国は公共の利益の観点からその土地を収用する必要がある場合を除き土地使用権の延長を認めなければなりません。延長する場合は、国に対して土地使用権払下金を支払わなければなりません。期間が満了し、延長されなかった場合、土地使用権及びその地上建築物などは、国家が無償で取得できることになっています。日本の定期借地権の場合、借地人は、月ごとに貸主に対して地代を支払うのが一般的ですが、中国の土地使用権の場合、これを国から譲り受けるためには、原則として一括払いで土地使用権払下金を払うことになります。
借地期間は日本の一般定期借地権の場合50年以上、建物譲渡特約付借地権の場合30年以上、事業用借地権の場合10年以上20年以下です。これに対し中国の土地使用権は用途別で借地期間が異なり、一般のマンションについては70年、オフィスについては50年となっています。
分譲住宅での日中の違い
@完成前なのに代金の支払い?
日本では新規分譲の際、開発業者と完成・引渡し前に売買契約を締結しますが、代金の決済(ローンの実行を含む)は、完成・引渡し時に行われます。
これに対し、中国では、決済が完成・引渡し前に行われるのが一般的です。日本では、物件の完成・引渡しが完了するまでは、開発業者及び建築会社が責任を持ち、決済は購入者への所有権の移転と同時に行われるので、購入者は代金を払ったけれど所有権を取得できないという事態が生じることはないのに対し、中国の場合、購入者が所有権を取得する前に決済が終了してしまうので、引き渡しリスクを購入者(および銀行)が負うことになります。つまり、建設会社や開発業者が倒産するなどの事態が起きたとき、すでに代金(頭金・ローン)が開発業者に渡っていますから、完成が遅れたり、完成に至らない場合のリスクを購入者(および銀行)が負うことになってしまうのです。一方、ローン返済はローン実行後(契約から1−2ヵ月後)からすぐに始まりますので、引渡しの遅延だけでも損害を被ることになります。
A新築分譲住宅は内装なしが多い
日本では内装(トイレ・バス・キッチン・床・天井など)が施された状態で引渡しを受けますが、中国の新規分譲の場合は、内装なし(コンクリート状態で、電源コンセント・配管以外は全くない状態で、「まお毛ぺい」という)が主流です。したがって、新規の分譲で内装なしで購入した場合は、このまま転売するかまたは、内装を施してから転売や賃貸などをする必要があります。
また、中古住宅を買う場合は、もとのオーナーが独自に内装をしていることから、その施工状態やグレードが物件毎にまちまちであったり、瑕疵担保の扱いも、内装付で販売する日本とは、大きく異なります。
(最近、内装付きの物件も増えてきました。上海では2005年からは新築分譲は、原則内装付となります。)
B専有面積と建築面積の違い
日本で、分譲・賃貸の対象として専有面積が使われます。これは、実際に部屋の中で使用できるネットの面積で、建築基準法、区分所有法で規定されており、バルコニーや廊下・エレベーターなどの共用部分は、専有面積には含まれていません。一方、中国では建築面積と表現され、共用部の面積を含めて按分して計算しています。したがって、中国の建築面積の約70-75%が、日本でいう専有面積に相当することになります。ただし表示の上では同じ建築面積でも、有効面積は、各物件によって異なります。いわゆる高級物件などは、クラブハウス、ロビーなどがゆったり作られておりいわゆる有効率が低く、表示されている建築面積のわりに実際の有効面積が小さい場合があります。
<トピックス>完成前物件ころがしにストップ!(上海市政府が投機抑制策を発表)
ところで、上海では、従来新築住宅を完成・引渡し前に転売することができ、この方法で儲けていている投資家がいました。
そもそも日本ではこのような転売は起こりえません。なぜなら、日本では、新築物件が完成する前は、転売の対象となる所有権が未だ発生していないからです。上海の新築住宅の事前購入者は、日本のようにすでに存在している所有権を売買の対象としているのではなく、開発業者と購入者との間で交わした予約売買契約の契約当事者の地位(買主としての地位、予約購入権)を転売の対象としているのです。
ただし、この予約購入権の譲渡も、上海では本年4月26日に譲渡制限が発表され、事実上できなくなりました。これは、昨今の過熱気味の上海不動産市場に対する投機行動の抑制が主な狙いとされています。昨年後半からこの完成前物件の転売禁止については噂があり、市場はある程度折込済みで、この正式発表が今後のマーケットに与える影響は軽微であるとの見方が主流ですが果たしてどうでしょうか?
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