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過熱経済下の不動産マーケット動向と引き締め政策の影響 |
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今回は、過熱経済下での引き締め政策の不動産市場への影響、8月末以降市場で高まっている人民元切り上げ期待についてレポートした後、最近マスコミ等で取り上げられるようになってきた中国不動産はバブルであるとの見方についてコメントします。
1.引き締め政策と不動産市場への影響
(1)引締め政策の実施背景と内容
01年末のWTO加盟後、固定資産投資が外国からの対中直接投資とともに急拡大しました。この投資の急増を背景に消費者物価が03年後半以降急速に上昇してきています。このような事態をうけて、中国政府は早期にインフレを抑制すべく03年8月以降以下のような政策を実施してきました。
@ 預金準備率(*1)の引き上げ
2003年9月 6%から7%へ
2004年4月 7%から7.5%へ
Aマネーサプライの抑制
M2(*2)の前年比伸び率は03年8月末の21.6%をピークに、04年6月末には04年の政府目標値(17%)を下回る16.2%まで低下しています。03年4月以降は外貨の流入によるマネーサプライの増加を抑制するために不胎化介入(*3)も実施。
B鉄鋼、アルミ、セメント、不動産業に対する投資・貸出抑制策の実施(2004年4月)
(2)不動産市場への影響
価格抑制のために実施された引き締め政策が逆に不動産価格上昇の一因になっているとの見方がなされています。8月10日に行われた人民銀(中央銀行)の金融政策に関する記者ブリーフィングの場にて人民銀の高官は、最近の不動産価格の高い伸び率の原因は「引き締め政策により不動産開発投資・着工が減速し需給バランスが崩れていることにある」と述べています。今年8月の上海の中房住宅価格指数は前年末比+9.8%を記録しており、このペースが維持された場合04年は通年ベースで+20%程度の伸び率が予想されます。この20%程度という伸び率は昨年の通年の伸び率+33%を下回る水準ですが、02年の通年の伸び率+15.5%を5ポイント程度上回る水準です。
2.高まる人民元切り上げ期待と不動産市場への影響
年末にかけて市場において人民元の増価圧力が増してくる可能性が高まっています。背景として、@人民元は実質実効ベース(*4)(JPモルガン・チェース公表値)で04年に入り元高方向へ動いていましたが、足もとの7、8月に再び元安(2%程度の減価率)に傾いており、貿易収支が改善方向に向かう可能性がある、A実際、中国の貿易収支は5月に黒字に転じ、1〜7月の累積赤字は50億ドル程度まで縮小してきている、B10月2日、ワシントンで開催されたG7財務相・中銀総裁会議に初参加した人民銀の周小川総裁は人民元の固定は「永久ではない」と述べ、人民元の変動幅拡大(*5)に向け一定の環境は整いつつあるとの認識を示したこと、等が挙げられます。
これまで人民元切り上げ期待の高まりを背景に海外から大量の華人資本が不動産市場に流入し価格の押し上げ要因となってきましたが、上述のように人民元切り上げ期待が更に高まっていく場合には今後の不動産市場の動向に引き続き影響を及ぼしていくと思われます。
3.中国不動産はバブルという見方について
最近、中国不動産はバブルであるため中国不動産への投資は危険であるといった論調の報道がみられるようになってきました。たしかに総供給量の95%程度を占めるローカル向けマンションについてはバブルという見方ができるかもしれません。投資利回りが税引き前のグロスベースで4〜5%程度でしか回らない中で、さらに価格が上昇し続けるという事態となればそれは確かに実需ではなく投機商品となっている可能性が高いと思われます。他方、外国人向け高級マンションの投資利回りはグロスベースで8〜10%程度期待でき、価格は上昇トレンドにのっていますが、安定的に推移しています。中国の不動産価格の水準について議論する際にはローカル向けか外国人向けか分けて議論する必要があると思われます。
*1: 銀行が預かった預金の一定割合を準備金として中央銀行に積む比率。
*2: M1(狭義の通貨)とはM0(現金)に要求払い預金を加えたもの。
M2(広義の通貨)とはM1に準通貨(定期預金等)を加えたもの。
*3: 実質的に人民元レートの対米ドル固定相場制を採る中国にとり外貨流入は
マネーサプライ増加要因。これに対処するため中銀手形等を発行してマネーサプ
ライを減少させる措置を不胎化介入(Sterilized intervention)という。
*4: 通貨の総合的な国際競争力を示す。インフレ率の差で調整した実質レートを貿易量をウェイトに
加重平均したもの。
*5: 現行の上下に各0.3%の変動幅を拡大する可能性があり、拡大すると相場は上限にへばりついて
実質切り上げになるとの見方が多い。
以上 |
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