中国・上海にユニークな高級ショッピングセンターが登場!
日本ショッピングセンター協会・月刊誌「URERU」への投稿文 
上海ベターハウス 東京事務所長  高橋 守 
調査役   佐藤 直樹 

2004年6月25日、上海市・静安区の南京西路沿いにある静安寺のとなりに高級ショッピングセンター(SC)がオープンした。「久百城市広場」である。香港そごうが上海第九百貨店と組んで開発したもので、久光百貨店を核店舗とする延床面積10万平米、地上9階建て、高さ52mのモール型SCである。

上海市の浦西地区中心部に位置する静安区を東西に貫く南京西路エリアは上海の「銀座」とも称され、有名ブランド店、高級オフィスが多く集まっている。近年急速な発展を遂げ、現在上海で最も注目を集めている商業・オフィスエリアの一つである。同SCは立地の面でもユニーク。1700年の歴史を誇る禅宗の古刹「静安寺」の隣りに位置し、正面には都会の「オアシス」としての役割を果たしている「静安公園」が広がっている。

 中国のWTO加盟に伴ない小売業が完全自由化されるため今後競争が激しくなると予想されているが、以下に御紹介するとおりコンセプト、立地条件、ハード、店舗構成、サービスのあらゆる面で戦略性をもったSCの登場は同業他社より大きな脅威として受けとめられている。 オープン日には上海の小売業関係者が続々と訪れ、関心の高さをうかがわせた。

コンセプトは、中心顧客を「中クラスより上の所得層」とし、その層のニーズを充たしうる高級商品を備えた「ステイタスをもった」SCと規定。また、「One Stop Shopping」というコンセプトもとり入れ、同SCに来れば欲しいものは一度に手に入るように「衣・食・住・遊」の生活シーン全般にわたる商品を豊富に揃えている。上海はファッションに敏感な街といわれる。同SCは「大陸初登場」のブランド商品をいち早く出すことにより上海でのファッション・リーダー的存在になることを目指す。

冒頭でも触れたとおり、静安エリアは高級オフィスが集中するエリアとして有名。同SCはオフィス、レストラン、ブランド店等が入居する上海初の大型多目的ビル「上海商城」や大手日系企業が多く入居する「ケリーセンター」から徒歩5分の距離。このようなオフィスからの需要にも対応可能。近年同エリアはショッピングエリアとしても注目されている。エリア内には既に高級ブランド店が集まっている「プラザ66」や伊勢丹がテナントとなっている「梅龍鎮広場」がある。また、同SCの斜め向かいには有力台湾系デベロッパーが若い女性をターゲットにした、ハイセンスのファッション・ビルと高級オフィスを含む複合商業施設「Cross Ocean」を建設中。同SCが今後エリア内のSCとどのように共存・発展していくのか注目されるところである。交通アクセスの面でも恵まれている。地下鉄2号線の「静安寺」駅に直結していることに加え、上海市内を東西に走る延安高架道にも近いため車でのアクセスにも便利。同SCの出現で静安エリア内の「人の流れ」が確実に変わってきている。

上海には既にモール型SCは複数あるが、同SCのように6層吹き抜けのモール部分の天井および側面が全面ガラス張りのものはない。日中は太陽光線で光り輝き、夜は強力なライトアップにより幻想的な雰囲気を醸し出す。外観も曲線を多用した目に優しい優美な建築スタイル。建物の正面外に2つのエスカレーターが敷設され直接2階から入れる構造も特徴的。中国ではなかなかお目にかかれない清潔感のあるトイレは1階以外の各階にあり、日本では当たり前のようになっている赤ちゃん用オムツ交換台も設置。照明にも特別な配慮がなされており、1階フロアに足を一歩踏み入れると他のデパートよりも明るく柔らかい照明が使われていることが即座にわかる。

多くの高級ブランド店がテナントとなっているが、目玉はTIFFANY とBURBERRY。TIFFANY(9月29日開店予定)は上海初登場のブランドであるため、非常に注目されている。日本TIFFANYがCMを担当。店舗の造作物・什器等は日本から空輸で届けられコストが非常にかかっているという。BURBERRYは子供向けから大人向けまで種類も豊富。1日平均6〜7万元の売上を達成している。他の有名ブランド店の中にはMAX & CO、DUNHILL、BROOKS BROTHERS、KENZO等がある。モール部分にはフランス、イタリア、スペイン等世界各国の高級専門店が入っている。また、同SCの最大の特徴の一つは「Fresh Mart」と呼ばれる久光百貨店直営の高級スーパーが地下1階に入っていること。13,000平米の売場面積、食品の鮮度、種類の豊富さは上海のトップクラス。商品の主要仕入れ先が日本や欧米であることも他のデパートとの大きな違い。同じ地下1階にはヤマザキパンが入っており中国人の間で大変な人気となっている。飲食関係では8階に日本料理、中華、しゃぶしゃぶ、カニ等の高級レストランが入る予定。(9月29日予定)

接客サービスはそのSCのイメージを形作る重要な要素である。長い間「サービス」というものが知られてこなかった中国で、そのSCにいけば気持ちよく買い物ができるというイメージが定着すれば、それ自体重要な差別化であろう。現時点ではまだ日本人との差は大きいが、しっかり教育すれば中国人も日本式サービスの担い手になりうるとの基本認識のもと従業員教育には力が入れられている。レジでのパッキングの仕方、お金の受け取り方等細かい指導が根気強く行われている。

今回御紹介したSCの立地エリアは今後、静安エリア内の一つのコア・エリアに発展する可能性が高い。現時点で周辺の商業インフラは他の商業エリアに比べて見劣りするものの徐々に整備されていくであろう。他方で上海小売業の高い成長率、中国人富裕層の増加、小売業の完全自由化等を背景にSCの数は今後更に増えエリア内およびエリア間の競争は激化していくだろう。中国ローカル百貨店はサービス、販売促進、商品管理に関わるノウハウを必要としている。SCの先発国でソフト面の様々なノウハウを蓄積してきている日本のSCの進出が望まれるところである。

<付記>
本記事作成にあたっては久光百貨有限公司・販売推進部長の手島隆明氏に御協力頂いた。記して感謝の意を表したい。手
島氏によると氏を含む4人の元そごうマンを中心メンバーとして百貨店が運営されているとのこと。これまでの百貨店勤
務を通じて得た知識・スキルをベースに上海という新天地で存分に御活躍されているその姿に筆者は深い感銘を受けた。 

【SC概要】 SC名     :「久百城市広場」(英語名:CITY Plaza) 
所在地              :上海市南京西路1618号 
電話                :021-3217-4838 
延床面積            :約100,000平米 
オープン日          :2004年6月25日 
グランドオープン日  :2004年9月29日 
店舗数              :569 
営業時間            :10:00〜22:00 
駐車台数            :220台 
運営・管理          :久百城市広場有限公司、久光百貨有限公司 
株主                :Gainbest Asset Ltd.(出資比率65%)上海第九百貨店(同35%) 

上海ベターハウス
中国上海法人。外国人投資家向け不動産投資コンサルティング、アセットマネジメント、市場調査、商業店舗企画、
不動産投資セミナー等の業務を行う。
URL: www.1betterhouse.com
Email: max@1betterhouse.com
 

 

 

 








 
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